ヒストグラム② 標準偏差と工程能力指数

QC検定 3級

このブルグ前回のヒストグラム①の続きになります。

標準偏差とは

ウィキペディア(Wikipedia)では標準偏差について、以下の通りに説明しています。

標準偏差(ひょうじゅんへんさ、(英: standard deviation, SD)とは、データや確率変数の、平均値からの散らばり具合(ばらつき)を表す指標の一つである。
標準偏差 – Wikipedia

ウィキペディア(Wikipedia)

ここで大切なのが「平均値からの散らばり具合(ばらつき)を表す指標の一つ」の部分です。
前回のヒストグラム①では視覚でヒストグラムのバラツキを確認していましたが、標準偏差では数値でバラツキを確認する事ができます。

標準偏差の計算方法

標準偏差の計算方法を、前回のヒストグラム①の大根の長さを例にして説明します。

上表の平均値はXbar=40.0になります。

①偏差平方和の求め方

偏差平方和とは「データと平均値の差を2乗した値の合計の値」の事です。
n=100の場合だと以下の通りになります。

以下は公式と今回のデータの計算結果になります。

②不偏分散の求め方

不偏分散(Vx)とは、標本から母集団の分散を推定する時に用いられます。
※標本・・・サンプルデー(例:大根の長さ n=100)
 母集団・・・調査対象全てを含む集団(例:全ての大根の長さ)

公式と今回のデータからの計算結果は以下の通りです。

③標準偏差の求め方

標準偏差は以下の公式で求めます。

求めた標準偏差s(sx)から、バラツキを確認する事ができます。

まずヒストグラムにXbar(平均値)の線を引きます。
そして、Xbar ± s、Xbar ± 2s、Xbar ± 3sと線を引きます。
Xbar ± sの範囲で約68%
Xbar ± 2sの範囲で約95%
Xbar ± 3sの範囲で約99.7%
それぞれの確率でデータがその間に収まります。

今回のデータはsx = 3.87なので、同じ条件で抜き取りで測定すると
Xbar ± s = 40.0 ± 3.87 の範囲で約68%
Xbar ± 2s = 40.0 ± 7.74 の範囲で約95%
Xbar ± 3s = 40.0 ± 11.61 の範囲で約99.7%
の確率で各範囲にデータが収まると考えられます。

工程能力指数とは

工程能力指数(Cp、Cpk)とは標準通りに生産した時に、どの程度品質を実現するか示したものです。

Cp(Cpk)の値の判断基準は以下の通りです。

Cp(Cpk)工程能力対応
Cp≧1.67工程能力は十分過ぎるバラツキがもう少し大きくなっても心配ない
ので、管理の省略化やコスト低減方法を検討。
1.67>Cp≧1.33工程能力は十分理想的な状態なので維持する
1.33>Cp≧1.00工程能力は十分とは言えないが、
まずますである
工程管理をしっかりと行い管理状態に保つ。
Cpが1に近づくと不適合品発生の恐れがある
ので、必要に応じて対応する。
1.00>Cp≧0.67工程能力は不足している不適合品が発生している。
全数検査や工程管理の改善が必要。
0.67>Cp工程能力は非常に不足しているとても品質を満足する状態ではないので、
原因を追及し品質改善を行い、緊急対策
が必要。または規格を再検討する。

Cp(Cpk)=1は、測定データの分布に対して規格値が ± 3sのちょうどあると言うことになります。

つまり約99.7%が規格値内に収まり、約0.3%がNGになります。

Cp(Cpk)S(σ)NGの割合
Cp=0.67± 2s約5%
Cp=1.00± 3s約0.3%
Cp=1.33± 4s約0.006%
Cp=1.67± 5s約0.00006%

工程能力指数(Cp)の計算方法

工程能力指数(Cp)は、両側規格と片側(上限・下限)規格で公式が違います。

[規格の例]
 両側規格: ± 1.0
 上限規格:0 / -1.0
 下限規格:-1.0 / 0

公式は以下の通りです。

[両側規格の場合]

[上限規格の場合]

[下限規格の場合]

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