今回は、「とべ バッタ」という絵本を紹介させて頂きます。
【出典】
書名:とべ バッタ
著者名:田島征三
出版社:偕成社
初版:1988年7月
偕成社様 とべバッタ紹介HP
とべバッタ – 偕成社 | 児童書出版社 (kaiseisha.co.jp)
先日、奧さんの実家へ行った際に、3歳の娘が「よんで!!」っとこの絵本を私に持ってきました。
家族が私抜きで、奧さんの実家に帰省した時に、3歳の娘はお義母さんや奧さんに昔の絵本をよく読んで貰い、娘はこの「とべ バッタ」にとても夢中になったそうです。
普段、サンタさんやはらぺこあおむしなどかわいい絵本しか読んでいなかったので、この「とべ バッタ」を持ってきた時は、表紙の絵柄から「えらい、渋いの持ってきたな」と思いました。
しかし読んでみると、手に汗握るストーリーや展開に迫力ある絵で、私が胸を打たれ夢中になりました。
※以降より、ネタバレを大いに含みます。絵本の内容が分かってもいい方のみご覧ください。
あらすじ
主人公のバッタは、仲間を食べるヘビやカマキリなど恐ろしい天敵に怯えながら、いっぴきで身を隠して暮らしていました。
しかし、バッタはそんな怯えながら生きていく事が嫌になり、隠れるのを止めます。
天敵達は次々バッタに襲い掛かりますが、バッタは力いっぱい跳び、ピンチを切り抜けていきます。
恐ろしい冒頭
見開き1ページ目から、仲間のバッタが次々と天敵に捕食されるシーンから始まり、主人公のバッタにとっては残酷な世界が広がっています。
文章にするだけでも恐ろしいですが、田島征三さんの迫力のある絵が、仲間のバッタが天敵に食べられるシーンをよりリアルにし、絵本なのに鳥肌が立ちます。
正直、冒頭だけ読むと子供に見せていいか迷います。
カッコいい主人公のバッタ
怯えながら生きていく事が嫌になった主人公のバッタは隠れるのを止め、危険を承知で大きな石の上でひなたぼっこを始めます。
案の定、ヘビやカマキリが見つけ、バッタに襲い掛かりますが、それをバッタは強く高く飛び跳ね、そのまま次々と天敵を文字通り蹴散らしていきます。
この大胆に石の上に身をさらす様子や、天敵を次々と蹴散らしていく描写が痛快でカッコ良く、仮面ライダーをほうふつさせます。
ダイナミックに逆境を乗り越える姿は、子供だけでなく大人も引き付けられます。
3歳の娘もこのシーンの時は「わあー」や「おー」など声を出し、興奮して聞いています。
胸を打つバッタの生き様
天高く跳び跳ねた主人公のバッタは、今度は重力で下へ下へと落ちて行き、下ではカエルや魚がバッタを待ちかまえています。
そこでバッタは始めて自分の背中に羽がある事に気付き、羽をバタつかせます。
バッタはきれいに翔べず、トンボや蝶に馬鹿にされます。しかし、バッタはそんな事は気にせず、自由に飛んで行ける事に喜びでいっぱいになります。
ここで胸を打たれた大人は少なくないと思います。
私も含め、大人になればなるほど周りの視線や評価を気にし、本当にやりたい事を我慢する人は多いと思います。
だから私は、トンボや蝶にはやし立てられながらも、自由に飛ぶことを選んだバッタに胸を打たれ、バッタが眩しく見えました。
また、冒頭の恐ろしい環境から思い切って飛び出し、ピンチを切り抜け、自分の才能を開花するバッタの姿を見て、「あの時、チャレンジしとけば良かったな」とか「あの時、途中で諦めるんじゃなかったな」など過去の後悔や反省がふっと頭をめぐりました。
私事ですが昨年からこのブログを初めましたが、投稿するペースは上がらない、PV数は伸びないなど、ブログへのモチベーションが下がっていました。
「このままブログを続けるのは厳しいかな」、「もうそろそろやめようかな」と頭によぎりました。
しかしながらこの絵本が、「まだ石の上でひなたぼっこを始めただけ!天高く跳ぶのはこれから!」と前向きにしてくれました。
チャレンジする事や、チャレンジを続ける事の大切さを教えてくれる絵本に出会えました。
受賞歴
「とべ バッタ」は多くの賞を受賞しています。
【受賞歴】
・絵本にっぽん賞(1988)
※1995年から「日本絵本賞」に名称変更
・ボローニァ児童図書展・グラフィック推薦(1989)
・全国学校図書館協議会・選定図書(1988)
・小学館文学賞・絵画賞(1989)
多くの賞は、たくさんの人の胸を打った裏付けだと思います。やっぱり「とべ バッタ」は名作ですね!
子供にぜひ読んでもらいたい絵本
大人はこの絵本を読んで、あれやこれやと考えを巡らせますが、我が子はそんなに深く考え込まず、ただただ痛快なこの絵本を楽しむと思います。
※私の娘は、脈絡も無しに「とべ バッタ」と言うくらいこの絵本が大好きです。
何かの壁にぶつかった時に、その壁を乗り越える手助けになってくれそうな絵本で、ぜひたくさんの子供に読んでほしいです。
しかしながら、私の娘はこの絵本が大好きですが、冒頭の恐ろしいシーンや迫力のある絵で怖がる子もいると思います。
そんな子には無理をさせず、成長して読めそうな機会があれば、読んであげて下さい。
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