今回は「つかまえた」と言う絵本を紹介させて頂きます。
【出典】
書名:つかまえた
著者名:田島征三
出版社:偕成社
初版:2020年 7月
偕成社様 つかまえた紹介HP
つかまえた - 偕成社 | 児童書出版社『ちからたろう』『しばてん』『ふきまんぶく』『とべバッタ』など、大胆な筆づかいで、ほとばしる生命の躍動を描いて
先日、娘と地元の図書館に行きました。
今年は私も3歳の娘「とべ バッタ」が好きになったので、その作者の田島征三さんの絵本を探しました。
※「とべ バッタ」についてはこちらで紹介しておりますので、良ければ是非こちらもご覧下さい。
そこで「つかまえた」という絵本を見つけたので、娘と試し読みしてみると、ノスタルジックだけどそれだけでは言い表せない魅力的な絵本なので、今回紹介させて頂きます。
※以降より、ネタバレを大いに含みます。絵本の内容が分かってもいい方のみご覧ください。
あらすじ
男の子が川の中でのんびりとじっとしている大きな魚を見つけ、捕まえようとそっと近づきます。
ところが男の子は足を滑らせ、まっさかさまに水の中へ。
川の中に落ちながらも、男の子は懸命に魚を捕まえようとし、魚は懸命に抵抗します。
とうとう魚を捕まえた男の子は、喜びながら昼寝し、その間に魚はバケツが飛び出し、草の上で弱ってしまいます。
男の子は慌てて魚に水を掛けようと、滝に自分の体ごと掛かりに行きます。
魚は息を吹き返し、また激しく抵抗して川の中に帰ってしまいます。
この絵本の魅力
私見ですが、こちらの絵本の魅力について説明させて頂きます。
シンプルなストーリーと男の子の感情
あらすじの通り、ストーリー自体はとてもシンプルです。
- 男の子が魚を捕まえる
- 魚がバケツから飛び出し弱る
- 男の子が魚に水を掛ける
- 魚が逃げる
しかしながらその分、一生懸命に魚を捕まえようとしている時、魚を捕えた時、魚を助けようとしてる時の男の子の感情がダイレクトに伝わり、私と娘はストーリーに没頭します。
ストーリーと感情を表現するイラスト
ストーリーがシンプルなだけでなく、絵本の文章もとてもシンプルで、男の子の1人称で物語が進み、説明はほとんどありません。
ただし、その構成や絵の具で大胆に重ね描きする独特なタッチで、自然とイラストに目が行き、この絵本の世界に入り込みます。
そしてイラストがこの絵本のストーリーを説明や進行してくれます。
例えば、男の子が昼寝をする時に、いつの間にか上半身裸になっており濡れた服を木に掛けていたり、またその間に魚がバケツから飛び出していたりしています。
こんな展開があれば娘と絵本中に会話ができ、「わあ」や「おー」など反応が返ってくれば娘の身になっているような気がして、親としては大変嬉しく思います。
また男の子の表情がとても豊かです。
男のは様々言葉で感情を出していますが、それ以上に男の子の表情でその時の気持ちが強く伝わってきます。
子供にはわくわく感、大人にはエモい
3歳の娘は今年(2024年)の夏に初めて本格的な川遊びをしました。そのためか、男の子が川に入っているシーンが好きで喜んで見ています。
大人はこの絵本からエモいを感じると思います。私はこの絵本を読むと、小川の沢蟹やトンボ・蝶々を捕まえていた子供時代を思い出しノスタルジックになります。
言葉では言い表せない魅力
この絵本の魅力をを説明しましたが、それでも全てを言語化できずモヤモヤした気持ちになります。
それは何かなと考えていたら、こちらYouTubeにヒントがありました。
こちらのYouTubeでは前半に作者田島征三さんの朗読があり、後半にインタビューがあります。
※試し読みにもなりますので、是非こちらのYouTubeをご覧ください。
そちらのインタビューで「可視化できない気持ちを、絵で表現した」とおっしゃっていますが、それで少し自分の中で少し腑に落ちました。
私が言語化できた部分はこの絵本の全てでは無く、色とか空間を駆使して複雑な男の子の感情をこの絵本は伝えてくれています。
この絵本は子供の感性を磨いてくれると思いますので、是非たくさんの子供に読んで貰いたいです。
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