統計的方法の基礎【定義と基本的な考え方】

QC検定 3級

統計的方法の基礎は、QC検定3級では第20回から出題範囲に加わり、正規分布や二項分布が出題されます。

試験(QC検定3級)第24回第25回第26回第27回第28回第30回
正規分布1問1問1問1問
二項分布1問1問

統計的方法の基礎は6回に4回のペースで出題されます。

QC検定3級の中では統計的方法の基礎は難しい分野になるので、苦手意識がある方も多いと思いますので、出題傾向を抑えておきましょう。

また正規分布の方が、二項分布より出題し易いので、まずは正規分布をしっかりと抑え、余力があれば二項分布に取り掛かりましょう。

 

正規分布

正規分布とは

正規分布(せいきぶんぷ)とは、統計学や確率論でよく使われる確率分布の一種です。

正規分布は、データが平均値を中心に左右対称な形状で分布することを特徴としています。代表的な形は下図のような釣鐘型です。

正規分布は多くの自然現象や社会現象に見られ、例えば身長や体重、試験の点数など、さまざまなデータセットが正規分布に従います。

製品の生産においても、寸法のバラツキは正規分布に従う事が多いです。正規分布に従わない場合は、測定ミスや工程の異常、複数の分布が混ざっている可能性があります。

複数の分布が混ざっている場合は、層別を行い分布を分ける必要があります。

 

正規分布の基本

標準偏差σ

正規分布のバラツキ表す指標を標準偏差と言います。また標準偏差はσ(シグマ)と表します。

具体的には、データが平均値(μ・ミュー)の周りでどれだけ分散しているかを示します。

こちらはμ(平均値)から±σなら約68.3%±2σなら約95.4%±3σなら約99.7%の割合(確率)で合格します。

こちらの数値は覚えておきましょう。

σ合格率不適合率
±σ約68.3%約31.7%
±2σ約95.4%約4.6%
±3σ約99.7%約0.3%(1000個中3個)
±4σ約99.994%約0.00006%(10万個中6個)

 

正規分布の表記

正規分布は平均値μと標準偏差σで構成されるので、以下のように表記されます。

例えばN( 20 , 1.52 )と表記されていれば、平均値μは20、標準偏差σは1.5になります。

 

正規分布の標準化

正規分布 N( μ , σ2 )は標準正規分布 N( 0 , 12標準化する事ができます。

正規分布を標準化する事でその正規分布(母集団)に対して個々の値(測定値など)が発生する確率を求める事ができます。

具体的にはKp(または u もしくは z )を算出し、正規分布表を使用する事で、確率を求める事ができます。

 

確率・割合の計算

以下の例題を元に、計算方法を説明します。

【例題1】
ある大学の男子学生の平均身長は170㎝で、標準偏差は5cmです。171.7㎝以上の人は何%でしょうか?

まずは以下の公式でKp(または u もしくは z )を求めます。

この公式でKpを計算すると以下の通りになります。

Kp=(171.7 – 170)/ 5 = 0.34

次に正規分布表(KpからPを求める表)からPの値を確認します。

正規分布の読み方は、縦軸は少数第1位まで横軸は少数第2位を表しています。

先程、計算したKp=0.34だと以下の通りにP=0.3669になります。

これを標準正規分布で表すと以下のようになります。

平均値170㎝に対して171.7㎝以上の割合を問われているので、上記の斜線部分(P)が答えになります。

よって答えは36.69%になります。

【補足】
問題が「171.7㎝以下は何%?」と問われている場合は、上図正規分布の斜線部分以外が答えになります。
1 – P =1 – 0.3669 = 0.6331
よって答えは63.31%になります。

 

二項分布

二項分布とは試行回数nに対して、成功確率p成功する回数などを求める確率分布です。

例えば、コインを10回投げて表が出る回数を数える場合、試行回数nは10回、成功確率pは0.5(各投げで表が出る確率)です。

QC検定3級では確率の計算問題が出題され易いです。その公式は以下の通りです。

n:試行回数、P:成功(発生)確率、k:成功(発生)回数

公式を見ると難しく思えるので、例題を時ながら説明します

 

【例題2】
良品率が0.8の製品を5個作製した。良品数が3個になる確率を求めよ

先程の公式を当てはめると以下の通りになります。

n=5、P=0.8(1個当たりの良品の確率)、k=3(良品数) 

よって答えは20.48%になります。

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