ヒストグラムとは
ヒストグラムとは、品質特性値のバラツキを視覚的に認識するための手法です。
縦軸に度数、横軸に区間分けしたデータで作成した棒グラフになります。
※度数・・・区間の幅に当てはまる測定値の数
ヒストグラムの作り方
大根の長さを例にして、ヒストグラムの作成方法を説明します。
①目的を明確にする
大根を運搬する為に、箱を準備しないといけません。
箱の大きさを決めたいので、大根の長さのバラツキを調査します。
②データを収集する
大根の長さを測定し、記録を取っていきます。
ヒストグラムを作成する時は、データ数(n)を100以上取る事が望ましいです。
今回のデータ数はn=100です。
③データの最大・最小を求める
測定値の中から、最大値と最小値を求めます。
最大値(L)=50cm
最小値(S)=30cm
④仮で区間数を決める
区間数を決める方法は色々とありますが、以下の公式で計算して決める事が多いです。
k(区間数)=√n(データ数)
今回はデータ数が100個なので、k=√100=10になります。
計算結果が整数でない場合は、小数点は切り捨てします。
この区間数は仮で決めたものです。
度数分布表作成などの時に区間数が増減する事があります。
⑤区間幅を決める
区間幅は以下の公式で求めます。
区間幅(h)=[最大値(L)-最小値(S)]/ 区間数(k)
今回の区間幅は
h=(50-30)/ 10 = 2 になります。
⑥区間の境界値を決める
区間の境界値とは、棒グラフの重なる位置の事です。
各区間の境界値を求めるのに、まずは第1区間の下限境界値と上限境界値を以下の公式で、求める必要があります。
第1区間の下限境界値 = 最小値 ー 区間幅/2
第1区間の上限境界値 = 最小値 + 区間幅/2
今回の境界値は以下の通りになります。
第1区間の下限境界値 = 30 ー 2/2 = 29
第1区間の上限境界値 = 30 + 2/2 = 31
区間の中心値も計算します。
中心値は上限境界値と下限境界位置の真ん中になります。
今回の第1区間の中心値は
31-29=30になります。
⑦度数分布表の作成
先程求めた第1区間の下限・上限境界値、中心値から度数分布表を作成します。
第2区間以降は区間幅分を追加していきます。
また仮で決めた区間数は10ですが、その場合、最大値49までとなり、最大値50は収まらないので、区間数を11で決定しました。
⑧ヒストグラフ作成
作成した度数分布表から、縦軸を度数、横軸を中心値としたヒストグラムを作成します。
各区間の隙間はゼロにします。
作成したヒストグラムから、分布の形や中心の位置を確認して、工程に異常が無いか考察します。
ヒストグラフの使い方・見方
ヒストグラムでの考察方法を説明します。
①分布の形をつかむ
ヒストグラムの分布は品質状態や工程の状態で様々な形になるので、分布の形を把握する事が重要になります。
②バラツキやかたよりの原因を調べる
一般型以外の分布や中心にかたよりが見られる場合は、工程に異常の可能性があるので、その原因を調べる必要があります。
※測定の不備やサンプルの取り方に問題がある場合もあります。
③規格と比較して問題がないか調べる
規格と比較する事で、技術的要求を満たしている事や生産の実力を確認する事ができます。
上図は規格に対して、理想的なバラツキ方と言えます。
規格内でも、理想的でないバラツキ方があります。
バラツキ方 | 分布の特徴 | 処置 |
片側に寄っている | バラツキの幅は理想に近いが、上下限どちらかに寄っている | 分布の平均値を中心に近づくように工程を調整する |
規格上下限に余裕がない | 理想な分布に対してバラツキの幅が広く、規格内だが上下限近くまで分布が広がっている | バラツキの幅が広くなる原因を調査し対策する |
規格上下限に余裕があり過ぎる | 理想な分布に対してバラツキの幅が狭く、分布と規格上下限までの隙間が大きい | 規格上下限の幅を狭くする。 または、工程の一部を省力化するなど、コストダウンを図る。 ※加工数を減らす、検査を省く、生産速度を上げるなど。 |
規格を満たしていない場合も、もちろん異常なので工程の調査をしなければいけません。
この場合もどうやって規格から外れているのか、バラツキ方を確認してから調査を行います。
④対策前後で効果確認する
対策前後のヒストグラムを比較し、効果を確認します。
バラツキ方や分布の平均値の位置が対策後、理想に近づいている事を確認する。
問題
次の文章で正しければ〇、間違えなら✖と回答せよ。
問1
ヒストグラムは、データの平均値の位置やバラツキ方を視覚的に確認する事で、全体の特徴をつかむ事ができる。
問2
データ数がn=121なら区間数はまず9で仮決定した方がいい。
回答
問1 :〇
問2 :✖ 区間数は、k(区間数)=√n(データ数)の公式で決める事が多いので、
√121=11で区間数は11と仮決定した方がいいです。
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