管理図とは品質のバラツキが安定な状態か確認する為の手法です。
またバラツキが安定状態でない場合、その不安定な状態が偶発的なのか、工程の異常なのか判断する事ができます。
管理特性値を縦軸に、時間を横軸にして折れ線グラフ作成する事で、管理特性を時系列で確認する事ができます。
第24回~第30回のQC検定3級では以下のように出題されます。
試験(QC検定3級) | 第24回 | 第25回 | 第26回 | 第27回 | 第28回 | 第30回 |
管理図 | 1問 | 1問 (計算) | 1問 | 1問 (計算) | 1問 (計算) | 1問 (計算) |
管理図は第24回~第30回のQC検定3級では100%の確率で出題されます。
また、計算問題も6回中4回と高い頻度で出題されます。
出題傾向
管理図は数種類ありますが、QC検定3級ではXbar ー R管理図が必ず出題されるので、Xbar ー R管理図の計算問題や特性について理解する必要があります。
特に計算問題の出題頻度が高いので、以下の公式は覚えておきましょう。
こちらの公式の詳細については、管理図の作成方法をご確認下さい。
また計算問題以外にも、管理図のプロットから管理状態について問われる問題も高い頻度で出題されます。こちらの詳細は管理図の見方に説明しております。
管理図の種類
管理図の種類は以下の通りになります。
種類 | データ | 群の大きさ | その他特徴 |
Xbar ー R管理図 | 計量値 | n≧2 | 中心線がXbar とR |
Me ーR管理図 | ↑ | n≧2 | 中心線がMeとR |
Xbar ー Rs管理図 | ↑ | n=1 | 中心線がXbar とR |
p管理図 | 計数値 | 一定でない | データは不適合率 |
np管理図 | ↑ | 一定 | データは不適合数 |
c管理図 | ↑ | 一定でない | データは不適合数 |
u管理図 | ↑ | 一定 | データは不適合数 |
QC検定3級の管理図では、ほとんどXbar ー R管理図のみが出題されます。
時々、文章問題でp管理図とnp管理図が出題される事もありますが、p管理図は不適合率(不良率)、np管理図は不適合数(不良数)の管理状態を確認すると覚えておけば十分だと思います。
また上図の各管理図には解析用管理図と管理用管理図があります。
解析用管理図は工程が安定状態か評価・解析する為の管理図です。
管理用管理図は解析用管理図で工程が安定していると分かった場合、この管理図の横線を右に伸ばし、引き続き工程が管理状態である事を確認する為の管理図です。
管理図の作成方法
データが計量値の場合、管理図は群内変動用と群間変動用の2つになります。
データが計数値の場合、管理図は1つになります。
ここではXbar ー R管理図で管理図の書き方を説明します。
【補足】
XbarーR管理図は、2つの管理図(Xbar管理図とR管理図)で成立しています。
Xbar管理図は群間の平均の変動を確認します。
R管理図は群内のばらつき(郡内の最大値ー最小値)の変動を確認します。
①データの収集
データを収集する前に群の数と大きさが重要になります。
群とは一定間隔で区分したサンプルデータの集まりの事で、例えばロット毎、1時間毎など区分したデータです。
「群の数」はその区分したサンプルデータの集まりの数、「群の大きさ」は各群のサンプル数の事をいいます。
②表の作成
データ収集後、表を作成してXbarとRを算出します。
その後に、Xbar barとRbarも算出します。
ちなみに、上表の群の数は25、群の大きさ(データサンプル数)は5になります。
③Xbar管理図の管理線を計算
管理線にはUCL(上部管理限界)、CL(中心線)、LCL(下部管理限界)の3種類があります。
それぞれの管理線の公式は以下の通りです。
下表は係数表です。QC検定3級では下表のような計数表があるので、そこからA2の値を確認します。
群の大きさは5なので、A2は0.577になります。
これで各管理線を計算すると以下の通りになります。
④R管理図の管理線を計算
R管理図はXbar管理図と同様に3種類の管理線があります。
それぞれの管理線の公式は以下の通りです。
A2と同じ係数表から群の大きさ5のD4とD3の値を確認します。
今回はD4=2.114、D3=0になります。
これで各管理線を計算すると以下の通りになります。
⑤管理図(グラフ)を書く
②で作成した表のXbarの値とRの値でそれぞれ管理図を作成します。
また作成した各管理図に、③と④で求めた各管理線をグラフに記入します。
⑥考察する
作成した管理図の点が、正常なバラツキか異常なバラツキかを確認し、工程が正常な状態か考察します。異常が見られれば、その時に工程で何があったのか調査します。
管理図の見方は以下の章で解説します。
管理図の見方
管理図で工程に異常が有るか無いかを判断する事ができます。
管理図が正常な状態を「管理状態にある」と言い、管理図に異常の可能性がある状態を「管理状態にない」と言います。
管理状態にある(正常)
管理図が以下の2点であれば、管理状態にあります。
①打点がUCL、LCLを超えていない。
②打点のバラツキ方にクセがない。
管理状態にない(異常の可能性あり)
管理図が以下のようであれば、管理状態になく異常の可能性があります。
この状態が見られたら、工程に異常がないか調査する必要があります。
またQC検定3級には①打点がUCL、LCLを超えていると④長さが9以上の連があるが出題され易いので、しっかりと理解しましょう。
①打点がUCL、LCLを超えている
1点でもUCLを越えている場合、またはLCLを下回っている場合は、異常の可能性があります。
(以下からは打点のバラツキ方にクセがある状態)
②上昇傾向・下降傾向がある
全体的な上昇傾向や、6点以上連続の上昇が見られたらバラツキ方にクセがあると判断します。
下降も同様に、全体的な下降傾向や6点以上連続で下降が見られたら、バラツキにクセがあると判断します。
③周期性がある
上図のように周期的にまたは交互に増減していると、バラツキ方にクセがあると判断します。
④長さが9以上の連がある
連とは中心線をまたがず、上側または下側に打点が続いている事を言います。
上図のように連が9以上続いている場合も、バラツキにクセがあると判断します。
⑤打点が中心にない、または少ない
UCL・LCLとCLの間に横線を2本ずつ加えて、6分割の区域に分けます。
CLに近い区域(下図の赤い区域)に点が無い、または少ない場合はバラツキにクセがあると判断します。
⑥ほとんどの打点が中心部の領域に集まっている
⑤と同様に6分割に区域を分けます。
今度はCLに近い区域(下図の赤い区域)に点が集まっている場合は、バラツキにクセがあると判断します。
問題
次の文章で正しければ〇、間違えなら✖と回答せよ。
問1
管理図を使用すれば、必ず工程の異常を見つける事ができる。
問2
群の大きさが3のR管理図で横軸に数点近かったので、工程に異常があると判断した。
回答
問1 :✖ 管理図を使用すれば工程内異常を見つけ易くなりますが、必ず発見できる訳ではありません。
問2 :✖ R管理図では群の大きさが3の時、LCL=0になるので、LCLについては考えない。
コメント