この記事では、QC検定3級のテスト対策として工程能力指数の練習問題を記載しています。
良ければ、練習として解いてみて下さい。
QC検定3級向けの工程能力指数の解説は以下の記事で投稿しておりますので、よければご覧ください。
練習問題
問1 ○✖問題
次の文章で正しければ〇、間違えなら✖と回答せよ。
(a)
工程能力指数とは、工程に異常があった際に、その原因を調査する時に使用する指標です。
(b)
Cpは工程のバラツキが規格幅に対して、どの程度収まるかを評価する。
(c)
Cpkは工程のバラツキに加え、データ分布の中心が規格中央値からどれだけズレがあるかも評価する。
(d)
Cp≧1.33なら工程能力は十分で必ずCpkも同等の値になるので、工程を改善する必要はまったくない。
問2 CpとCpkの計算問題
ある安定状態の工程で生産した製品の重要寸法(規格値:1.8±0.3mm)を工程能力を確認するために、n=50で測定を行った。
その結果、平均値が1.95mm、標準偏差0.10になった。
(a):Cpを求めよ。
※計算値は小数第2桁までとする。
(b):Cpkを求めよ。
※計算値は小数第2桁までとする。
(c):Cp=1.33になるように標準偏差を改善する場合、標準偏差がどれくらいの値になるかを求めよ。
※計算値は小数第3桁までとする。
(d):(c)で求めた標準偏差でCpk=1.00になるように寸法を調整する場合、平均値はどれくらいの値になるかを求めよ。ただし、寸法(平均値)の調整量は最小とすること。
※計算値は小数第3桁までとする。
問3 工程能力指数とデータ分布
下図のデータ分布①~③に合う説明を(ア)~(エ)の中から選択せよ。
【データ分布】



【説明】
(ア):Cp、Cpkともに十分で、工程は理想的なのでこの状態を維持する。
(イ):Cpは十分だがCpkは不足しているので、平均値が規格中央値に近づくように改善する。
(ウ):Cpkは十分だがCpは不足しているので、バラツキが小さくなるように改善する。
(エ):Cp、Cpkともに不足しているが両方の値は近いので、まずはバラツキが小さくなるように改善する。
解答
問1 ○✖問題
(a)正解 : ✕
工程能力指数とは、工程が安定状態のときにある工程が、設計仕様(規格)を満たす製品をどれだけ安定して生産できるかを示す指標です。
工程が安定していない原因を調査する時には使用しません。
(b)正解 : ○
(c)正解 : ○
(d)正解 : ✕
Cpは工程のバラツキが規格幅に対してどの程度収まるかを評価するのに対し、Cpkは合わせてデータ分布の中心(平均値)が規格中央値からどれだけズレがあるかも評価するので、CpとCpkの値は同等になるとは限りません。
「データ分布の中心(平均値)=規格中央値」の場合はCp=Cpkになります。
それ以外はCp<Cpkとなります。
問2 CpとCpkの計算問題
(a)Cp = 1.00
Cpの計算式は以下の通りになります。

こちらの計算式に以下の数値を代入します。
【代入する値】
USL(上限規格)= 1.8 + 0.3 = 2.1
LSL(下限規格)= 1.8 - 0.3 = 1.5
s(標準偏差) = 0.10
【計算結果】

よって答えはCp=1.00になります。
(b)Cpk = 0.50
Cpkの計算式は以下の2通りあります。どちらの計算式を使うかは、規格中央値に対して、平均値の大小で決めます。
①平均値が規格中央値より大きい場合

②平均値が規格中央値より小さい場合

今回は規格中央値が1.8に対して平均値1.95なので、「①平均値が規格中央値より大きい場合」の計算式を使用します。
こちらの計算式に以下の数値を代入します。
【代入する値】
USL(上限規格)= 1.8 + 0.3 = 2.1
Xbar(平均値)= 1.95
s(標準偏差) = 0.10
【計算結果】

よって答えはCpk=0.50になります。
(c)標準偏差:0.075
標準偏差[s]を求めるために計算式にCp=1.33を代入すると以下の通りになります。
【計算結果】


よって答えはs=0.075になります。
(d)平均値:1.875
平均値を調整してCpkを改善する場合、Cpkの計算式は2つあるのでどちらを使用するか考える必要があります。
今回は「寸法(平均値)の調整量は最小とすること」と指示があり、調整前の平均値が規格値より大きいので、以下の計算式を使用します。

こちらにCpk=1.00と(c)で求めた標準偏差0.075を計算式に代入すると以下の通りになります。
【計算結果】


よって答えはXbar=1.875になります。
問3 工程能力指数とデータ分布
①正解
(イ):Cpは十分だがCpkは不足しているので、平均値が規格中央値に近づくように改善する。
規格下限(LSL)からデータ分布が出ているので工程能力は不足しています。
規格幅に対してデータ分布の幅(バラツキ)は小さく、データ分布の中心が規格中央値から離れているので、Cpは十分だがCpkは不足している事が分かります。
よって答えは(イ)になります。
②正解
(エ):Cp、Cpkともに不足しているが両方の値は近いので、まずはバラツキが小さくなるように改善する。
規格上限(USL)と規格下限(LSL)からデータ分布が出ているので、工程能力は不足しています。
規格幅に対してデータ分布の幅(バラツキ)は大きいですが、データ分布の中心は規格中央値とほぼ同じなのが分かります。
データ分布の中心と規格中央値がほぼ同じだと、Cp≒Cpkとなります。
よって答えは(エ)になります。
③正解
(ア):Cp、Cpkともに十分で、工程は理想的なのでこの状態を維持する。
規格幅に対してデータ分布の幅が小さいので、工程能力は十分にあり、データ分布の中心は規格中央値とほぼ同じなのが分かります。
よって答えは(ア)になります。
【補足】
(ウ):Cpkは十分だがCpは不足しているので、バラツキが小さくなるように改善する。
CpとCpkの関係はCp≧Cpkになり、Cp<Cpkになる事はありませんので、こちらの説明は間違っているので、最初の段階で選択肢から外す事ができます。
練習問題に慣れたら、次は過去問にチャレンジしましょう。
コメント